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Review

2015.5林 嘉一 個展

(2015.5.17-5.30 12:00-17:00)  Pastページ>>>>



林 嘉一



■展示を終えて
*お急ぎの方は最後の二段落だけお読みください。
 本文章は、ご覧いただけなかった方の脳内再生を補強するために
 やや冗長な文章となっている旨、お断り申し上げます。

ホワイトキューブというのは約束された地である。

作品および作品同士の関係性に集中出来るように、
極力ノイズを少なくした空間だ。
そこに存在するだけで文字通り”絵になる”。

そのため展示空間は作品の引き立て役となるが、
とは言え無の空間に作品が存在している訳ではない。
ホワイトキューブにおいても、
あくまでもその空間固有の癖との関係性において展示され、
全体でひとつの空間を創り上げる。

依頼された当初は無理だと思っていた。
癖の強い空間、暗くまばらな照明。
僕の作品にとってはかなり厳しい環境だ。
楽園から追放された絵はどのようにして絵たりえれば良いのか。

しかし、空間の癖が強いと言っても
その関係性の中でひとつの空間を創り上げることに変わりはない。
作品ではなく、空間に軸をシフトさせれば
何か自分にとって新しいことが出来るのではないか。
悩んでいた時、一つの展示プランを思い付いた。

メインの2点については展示場所から逆算してサイズを決めた。
と、同時に2階に小さな明り取りの窓があるのに気付き、
光が降り注ぐようなイメージで、2階を明(地上)、1階を暗(地下)
とする空間構成を考え、絵画空間もそれに呼応させることにした。
他の作品もその方針に沿って選択し、サイズと展示位置も事前に検討を重ねた。
展示に当たっては、空間のコンセプトを明確にするため照明も付け替えた。

人によっては当たり前の事かもしれないが、
ある程度展示は後から付いてくると思っている僕にとっては
ここまでやったのは初めてだった。

実は会場に置いていたキャプションの裏に以下の文章を載せていた。
展示作業後に、DMに載せた文章に少し手を加えたものだ。

 僕の作品はわりとニュートラルな空間を要求します。
 無菌室である必要はないけれど、
 やっぱり白い壁と白っぽい光ぐらいは欲しいところです。
 というのも、色は極端に相対的な存在なので
 周りの色や光で全く別物になってしまうし、バランスも変わってしまう。

 でも、そもそも人の認識なんて全て相対的なものです。
 朝にみるあなた、昼にみるあなた、夕方にみるあなた、夜にみるあなた、
 一昨日みたあなた、昨日みたあなた方、今日みるあなた、明日みるあなた、
 春にみるあなた、夏にみるあなた、秋にみるあなた、冬にみるあなた、
 全て違うでしょう。それと同時に全てあなたでしょう。

 区切られた表面に創られた世界を味わうだけが絵画の楽しみではありません。
 絵画の存在そのものを感じていただければと思います。


今回、展示空間から逆算して空間を創り上げるという試みを行いました。
誤解を恐れずに言えば、作品の見えよりも空間としての見えを重要視しました。
その結果、より体感的な体験を提供出来たのであればこれに勝る喜びはありません。
少なくとも僕にとっては、ひとつの成長となる展示でした

遠路はるばるお越しいただいたみなさま、本当にありがとうございました。
残念ながらご覧いただけなかったみなさま、本当に残念でした。
そして最後に、予想以上にハードだった搬入を手伝ってくれたNくんに感謝して。
次の展示でお会いしましょう。

■林 嘉一 展示作品


2015.5北浦 和也 個展

(2015.5.17-5.30 12:00-17:00)   Pastページ>>>>



北浦 和也



■展示を終えて
青い家での滞在制作を終えて。
2週間という短い時間の中で1番大事だなと感じた事が、
自分の環境作りだと思いました。
初日を終え、普段とは違う場所での生活が始まると何か違和感を感じ、
2日目の朝から台所の掃除を始めました。
展示空間の掃除をして、
少しずつ自分の居場所だと感じ、制作開始しました。
街から離れ、山と茶畑に囲まれ、
鳥の鳴き声と茶畑の収穫している動きの音だけ。
そんな自然の多い青い家での生活は、
制作と食べる事に集中できた2週間となりました。

■北浦 和也 展示作品



<OPENING EVENT>

木のブローチ作ろ

日   時 : 5月17日(日) 12:30~
会   場 : AIR南山城村“青い家”の前庭


家の周りから集めた小枝を使い、みなさん思い思いのブローチを作りました。


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